去年の私はセミもり子、きみは嘘つき

暑いのが苦手だという理由で夏の悪口ばかり言ってきたけれども、いつまでもそんなんでいいのか私、いい加減に夏の良いところに目を向けてやるべきなんじゃないのか、と思い、最近洗濯物をとりこみながら「夏だからよくかわくんだなあ、夏よ、おまえさんのおかげだなあ、夏よ」と話しかけることにしている。夏に。そのせいか夏もだんだん私にやさしくなってきたような気がする。

去年は暑い暑いと文句ばかり言っていたせいか、夏はじつに私にきびしかった。具体的に言うと、セミの死骸ばかり私に見せてきた。
ベランダに出たら死んだセミがいるし、マンションの階段をおりていたら踊り場ごとに死んだセミがいるしで、むしろ私が殺してんじゃねえの、歩くだけで、私いつのまにかセミ専門の死神になってたんじゃねえの、とまで思っていた。

死んだセミをゴミ箱に捨てるのもしのびないのでちょっくら公園に埋めてやろかしらんと思って一匹拾ったら最後、あちこちでセミが死んどるのを見つけてしまう。たちまち私の手にはセミの死骸がてんこもりになって、もしかしてセミもり子みたいなあだなついちゃうんじゃないのこれ、いやセミもり子ならまだかわいいけど妖怪出会うセミみんな死なせちゃう女みたいなあだなになったら立ち直れないよこれ、と思ったりしていた。
今年はまだ死んだセミを見てないので、やっぱり夏が私にやさしくしてくれてるのだと思う。ありがとう夏よ。

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8月9日か15日か発売のアンソロジー『きみは嘘つき』(角川春樹事務所)に「恋の値段」という短編で参加しています。他の著者は彩瀬まるさん、加藤千恵さん、中澤日菜子さん、額賀澪さん、椰月美智子さんです。豪華じゃろ。なぜその中に寺地が?!と思うじゃろ。私もそう思うもん。だから私すごい。私えらい。でもほんとにすごいのは私をこの本に加えよう、と思ってくれた人たちです。ありがとうございます。
アンソロジーはお菓子のつめあわせの箱みたいにいろんな味を楽しめるからいいよね。たぶん私今、うまいこと言うてやりましたみたいな顔をしています。

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ポプラ社の『十歳までに読んだ本』にもちょっと載ってます。こちらはエッセイです。エッセイといえば『飛ぶ教室』にも。

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8月17日発売の小説すばる9月号にも短編掲載予定です。画像はない。

以上宣伝です。(最近ツイッターやインスタグラムでお知らせして済ませてしまうことが多かったのでまとめてブログに書きました。)